噛み合わせは、模型や咬合器だけでは語りきれません。頭位、咬合平面、下顎運動――それらが重なって、はじめて「その患者の咬合」が立ち上がります。
PLANESYSTEM®は、こうした条件を患者固有の情報として整理し、治療・補綴計画に反映しやすくするためのアプローチです。
上顎の位置関係
咬合平面の傾き
咬合位(バイト)
咬合面形態の設計
セットアップ(歯列配列)
上顎との位置関係(上下顎の関連)
精密な計画には、数値や形態の精度だけでなく、患者の理解と納得、そしてチーム内の共通認識が欠かせません。
PLANESYSTEM®は、患者・歯科医師・歯科技工士の間で情報を共有しやすくし、相談から設計までの流れをスムーズにします。
フェイスボウ/トランスファーボウに起因するズレや誤差を抑えやすい
再現性のある基準平面を使い、咬合器上で情報を一致させやすい
歯科医療従事者が行う機能分析データを統合して活用できる
新しい設計思想の咬合器 PS1
デジタルワークフローに組み込みやすい設計
PlaneFinder(プレーンファインダー)は、患者が自然に前方を見たときの頭位(NHP)を基準に、水平と正中を安定して設定し、その基準で顔の左右差を見比べながら確認・記録できる計測デバイスです。記録時の基準を後工程でも引き継げるため、評価や情報共有のブレを抑え、コミュニケーションを円滑にします。
現場の声:最初から基準が合うから、後修正がほとんどいらない
「PlaneSystem®で患者さんの情報を受け取った時点で、技工側の段取りがかなり楽になります。基準となる平面が最初からきちんと合うので、あとから“合わせ直す”作業がほぼ要りません。ここが一番の時短ですね。後修正って、結局そこから手戻りや追加調整が増えていく原因になりやすいので。もちろん最初は少し慣れが必要です。でも運用が噛み合ってくると、情報の受け取りやバイトの記録にかかる時間は、従来のやり方と大差ありません。まだ新しい概念なので、技工士側から歯科医院に説明していくことも大切だと思っています。パンフレットを使って紹介したり、相談に乗ったり。私は“良いデータをきちんと取る”ところまで含めてワークフローだと考えているので、訪問のときにプレーンファインダーを持って行くこともよくありました。小さなラボだからこそできる動き方ですね。本来、患者情報の記録は歯科医院の仕事です。それでも、こちらから一歩踏み込んで提案すると協力体制が作れます。実際、歯科医師側の作業量もそれほど増えません。感覚的には、従来法よりむしろ負担が軽いくらいです。」― 歯科技工士 Karin Engelhart(Dental-art laboratory/ドイツ・Tönisvorst)Quintessence Zahntech 誌インタビュー(2016;42(4):531–535)
プレーンシステム製品構成
プレーンファインダー
NHP ナチュラルヘッドポジションと、上顎位置とAla-tragus Line アラトラゴスライン(カンペル平面)を測定します。計測したデータは咬合器PS1、またはZirkonzahn CAD/CAMシステムのソフトウェアを使用してバーチャル咬合器上で再現することができます。
一般医療機器 医療機器届出番号:14B1X90003ZZ0039
歯科用咬合器PS1
Zirkonzahn社オリジナル設計の半調節性咬合器です。矢状顆路傾斜度、平衡側側方顆路、イミディエイト・サイドシフトの調節機構を備え、矢状面内での咀嚼運動閉口路の咬頭嵌合位の閉口路角を約0.5mmから1mmレベルで90度を再現できます。
一般医療機器 医療機器届出番号:14B1X90003ZZ0040
プレーンポジショナー
咬合器PS1に上顎模型を配置し、咬合平面を再現するために使用するテーブルです。
PlaneSystem® – アクセサリー
ジョーポジショナーサポート
ジョーポジショナーをミリングマシンのオービット部に固定します。
マルチマーカープレート
Easy Fixモデルホルダーに取り付け、トランスファーフォークをスキャナーでスキャンする際の位置決めを行うためのアタッチメントです。
データ記録(歯科医院)
自然頭位(NHP)における上顎の位置
Manually
プレーンファインダー上に水平に合わせたトレーをセットし、咬合採得材を用いて記録します。
Digitally
フェイスハンター と プレーンファインダー を使用して記録します。
Manually
プレーンファインダー上で左右それぞれの計測角を確認し、水平基準面に対する角度として記録します。
Digitally
フェイスハンターのスキャンデータ上で、該当する解剖学的ポイント(鼻翼/アラトラガス)を指定します。角度はソフトウェアが自動で計測します。
PS1咬合器へのデータ移行(歯科医院または技工所)
取得したデータは、水平基準面をもとに PS1 咬合器へ正確に反映・位置合わせされます。
上顎の位置:
Manually
水平にセットしたプレーンポジショナー上に、まず咬合採得材を、頭蓋正中線や咀嚼中心などのパラメーターを基準に位置合わせします。その後、プレーンポジショナーを PS1 咬合器に装着し、登録した咬合採得材の上に上顎模型を正しく載せてから、上側アームに石膏固定します。
Digitally
顔貌スキャンデータと模型データを照合し、トランスファーフォークを基準に上顎模型の位置を決定します。そのうえで、ミリングユニットを用いてジョーポジショナーから咬合ポジショニングパターン(位置決めパターン)を切削し、従来のレジストレーション材と同じ要領でプレーンポジショナー上にセットします。こうした手順により、デジタルで取得した上顎の位置を、咬合器上で正確に再現することができます
アラ・トラガスライン/咬合平面の傾き:
Manually
プレーンポジショナー上のテーブル左右をピボットさせながら、あらかじめ計測したアラトラガスラインに合わせて調整し、さまざまな傾斜をとりうる咬合平面を再現します。
Digitally
咬合平面の傾きは、データ登録の時点で既に取得・反映されています。
手動で記録したデータは、スキャナーと.Scan ソフトウェアを用いてデジタル化できます。デジタル化した情報は、患者画像やフェイスハンターによる3D顔貌データと組み合わせて扱うことができ、Udo Plaster氏の分析手法ともスムーズに連携できる設計になっています。
― PlaneSystem®による咬合平面診断の新しいアプローチ
臨床の現場では、傾きの不正な咬合平面や、機能的に不十分な補綴物に悩まされることが少なくありません。
その背景には、患者情報の分析が十分に三次元的ではないことが一因として考えられます。
ドイツ・ニュルンベルクの歯科技工士マイスター、Udo Plaster 氏が開発した PlaneSystem® は、こうした課題に対する新しい解決策となる「トランスファーコンセプト」です。
PlaneSystem®は、
アラトラガスライン(鼻翼‐耳珠線)
自然頭位(NHP:Natural Head Position)
を基準に、患者ごとの咬合平面および顔貌・咬合の左右非対称を個別に解析し、その「実際の位置関係」をCAD/CAM システムへ正確に移行することを可能にします。
これにより、従来は経験や感覚に頼りがちだった咬合平面の設定を、再現性のある客観的な指標として扱うことができます。
デジタルで一貫したワークフローを成立させるためには、取得した患者データと三次元空間上の座標を正確に対応付けることが不可欠です。
PlaneSystem®では、以下の組み合わせによりそれを実現します。
Zirkonzahn スキャナー
Zirkonzahn デザインソフト内のバーチャル咬合器
PS1咬合器上の模型データを スキャナーが読み取り、その情報をZirkonzahn ソフトウェアのバーチャル咬合器へダイレクトに転送します。これにより、アナログで再現された顎位・咬合平面を、そのままデジタル空間上に再構築することができます。
PlaneSystem®を用いて咬合平面や非対称性を事前に把握することで、
ラボワークやチェアサイドでの補綴設計に入る前に、
必要な補正量や補正方向を見極めることができ、
データ移行時に生じがちなエラーリスクを最小限に抑制、場合によってはほぼ排除することが可能になります。
その結果、
診断
設計
製作
それぞれのステップが三次元的に整合した、機能的かつ予知性の高い補綴治療へとつながります。
― Zirkonzahn.Modellier × 3D フェイシャルスキャナー フェイスハンター
補綴物製作の次のステップは、Zirkonzahn.Modellier デザインソフトによる形態のモデリングです。
この段階で重要になるのが、単に咬合や機能だけでなく、患者さん自身の顔貌(フィジオグノミー)をどこまで反映できるかという点です。
この課題に対する答えが、3D フェイシャルスキャナー フェイスハンターです。
Ala–Tragus Line(アラトラガスライン)
Xie らの研究などにより、鼻翼下縁から耳珠中央を結ぶアラ–トラガスラインが、Camper 平面やフランクフルト平面よりも、実際の咬合平面に近い信頼性の高い基準であることが示されています。
アラトラガスラインと咬合平面とのずれはごくわずかで、咬合平面の再現に適した指標といえます。一方で、このラインは患者ごとに異なり、片側顔面の非対称(ヘミフェイシャルアシンメトリー)も少なくありません。
そのため、咬合平面を正確に再現するには、骨格分類に依存せず、個々の患者ごとにアラトラガスラインを基準として決定することが重要です。
Plaster トランスファーアプローチは、この考え方に基づき、「平均値」ではなく「その人本来の咬合平面」を基準として補綴設計に反映させることを可能にします。
自然頭位(NHP:Natural Head Position)
Plaster アプローチで重要となるもう一つの基準が 自然頭位(NHP) です。
Cooke による5年間の研究では、患者が鏡の前で直立し、自分の目をまっすぐ見つめたときの頭位は、角度の変動がわずか1〜2度で非常に再現性が高いことが示されています。この結果は Peng
らによる15年の研究でも裏づけられています。NHPは、患者とは独立した“空間的な基準枠”として扱うことができ、個々の患者の頭部の向きや姿勢の違いを正確に再現するための信頼できる指標となります。Plaster
の転送方法では、この自然頭位を基準にすることで、患者固有の空間的な位置関係を、より正確にデジタル環境へ移行できるようになります。
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